《1》コミュニティバスの実現について
●都営バス路線復活について
平成12年度に駒込から王子を結ぶ都営バス路線が廃止されており、影響は多大なものがある。
廃止の経緯として、南北線の開業が挙げられているが、生活の足として利用されてきたバスのかわりにはならない。 地下鉄とバスでは、同じ路線を走っていても、利用のされ方はまったく異なる。
この区間の交通整備に関しては、まず第一に都に責任があると言えるため、区としても、今後継続して東京都に対して、路線の復活を働きかけていくべきである。
今に至るまでの東京都との交渉状況、そして、今後の見通しについて答弁を求める。
(区答弁)
駒込から王子間のバス路線の復活につきましては、これまでも事業者である東京都へは再三申し入れをしてきたところです。 東京都は、要請の趣旨に一定程度の理解は示しつつも、都内バス路線網の再編や、駒込から王子間のバス利用者が減少したことにより、路線の廃止をしております。
また、この区間に対して、新たな乗客の流れ等、大きな変化が生じない以上、現段階ではバス路線の復活は困難であるとしております。 しかしながら、区民からの根強い要望がある路線でもあり、北区といたしましても、こうした区民の声を背景に引き続き、東京都に対し要請をしてまいります。
●コミュニテイバスの実現について
基本的な交通網に恵まれている北区においては、採算等の問題を考えると困難を伴うことも十分に考えられる。
しかし、コミュニティバスの実現可能性を検討するにあたって、北区として、採算ベースに載せる方法を綿密に調査することが必要である。 具体的な実地調査を行うことが必須の前提条件であると考える。
客観的な素材がなければ、客観的な検討も出来ないはずである。 調査・研究の発展を期して、答弁を求める。
(区答弁)
北区内では、鉄道路線やバス路線等の公共交通機関は、概ね充足している状況にありますが、区内の高低差のある地形などを考慮しますと、区民にとって必ずしも便利とは言えない地域があることも事実です。
コミュニティバスは、「既存のバスサービスだけではカバーしきれないニーズに対応する乗り合いバスであり、高齢者・障害者等への福祉サービスや、環境に与える影響の軽減を視野に入れたシステムである」とされており、その調査の必要性は認識しているところです。
今後とも、運行の可能性について、課題等を含め検討してまいります。
《2》成年後見の拡充について
●区長申し立て権活用の実績と今後の課題について
平成十二年四月から痴呆性高齢者、知的障害者、心的障害者等の判断能力の十分でない成年者を保護する成年後見人制度が施行され、本人に配偶者または四親等内の親族がない場合等で必要があるときに市町村長に後見開始の審判の開始を申し立てる権限が付与された。
介護保険制度や支援費制度など「契約」による福祉サービスの利用に成年後見制度の利用が重要である。 まず、区長に後見の申し立て権が付与されたことに対する周知を含めた実績と今後の課題について答弁を求める。
(区答弁)
区長申し立て権活用の実績と課題についてお答えします。 議員ご指摘のように、「契約」を基本とする福祉サービスの利用という新たな福祉制度のもとにおきましては、判断能力の不十分な方への成年後見制度の活用は、利用者の権利擁護という面から大変に重要なものと認識しております。
区では平成十四年三月に「福祉サービス利用支援・利用者保護のしくみ」を策定し、この中で区長申し立て制度を含む権利擁護全体の考え方をまとめ、関係機関に周知して、区民の相談に応じられる体制づくりに取り組んできたところでございます。
あわせて、北区ホームページおよび北区ニュースにも掲載し、広く区民への周知を図りました。 また、平成十四年度には、北区社会福祉協議会が「成年後見制度と遺言」と題した講演会を開催し百名名近い区民のご参加をいただいております。
さらに、平成十五年度には、権利擁護センター「あんしん北」の事業として、成年後見精度の利用に関する講演会を十回開催する取り組みを進めているところでございます。
区長申し立ての実績でございますが、平成十四年度に二件、平成十五年度には二件申し立てを行い、その他に、親族の調査を進めている案件が一件ございます。
今後は、「高齢者地域自立支援ネットワーク」の活用を図り、判断能力が不十分なために支援が必要な方々を発見していく取り組みを進めていくことが欠かせない課題であると考えております。
●支援制度の拡充ついて
費用負担が困難なため利用が進まない事態を防ぐために、国の補助事業である成年後見制度利用支援事業の実施に積極的に取り組むとともに、さらに支援制度の拡充を図っていくべきと考えるが答弁を求める。
(区答弁)
現在、北区では、区長申し立てに要する経費については、制度を利用される方に負担していただいております。 しかし、利用される方の資産状況によっては、負担が困難な場合もあることから、成年後見制度利用支援事業を実施して、国、都、区の三者による負担とすることにより、制度の利用に支障が生じないよう支援しているところでございます。
しかしながら、後見人報酬まで補助する制度を整備している区は東京都の報告書によりますと、平成十四年度の段階で、二十三区中、数区にとどまっている状況でございます。 北区といたしましては、成年後見制度の利用状況や他区における対応等をふまえながら、今後の支援制度のありかたを慎重に検討してまいりたいと存じます。
●法人後見の拡充について
成年後見制度が機能するには後見人の確保が今後の課題であると考える。自治体が、社会福祉協議会等の団体に補助金を出し、その当該団体が法人後見業務を行ったりする関与が考えられる。例として、横浜市社協では横浜市から補助を受けて横浜生活安心センターを運営し、法人後見業務を行っている。
本年7月に、北区社会福祉協議会内に権利擁護センター「あんしん北」が設立されたが、法人後見受託業務を行うことは意義があると考える。 そこで区としてこのような取り組みについて考えを問う。
(区答弁)
法人後見には、親なき後の長期間にわたる後見業務や、後見業務にかかわる複数のスタッフの中から相性のいい人を選べる等のメリットのあることが一般にいわれているところでございます。
他方、議員ご指摘のように、利用者ご本人の経済的な状況などによりまして、成年後見人の確保が困難な場合のあることもまた、考えられるところでございます。
そのような場合に、例えば社会福祉協議会など公共的な団体を、最終的な成年後見人の候補者とする検討が必要になることは、認識しているところでございます。
しかしながら、成年後見人に求められる財産の管理や処分、また保健、医療といった分野の専門家の確保が必要になるなど実施に当たっては整備すべき課題も多いと伺っております。
区と致しましては、今後、ご提案のような支援の可能性について検討していくとともに、北区社会福祉協議会の体制整備の実現可能性について、情報収集に努めながら、研究して参りたいと存じます。
《3》マンション政策を充実させファミリー層へのアピールを
●マンション住民の自治支援策について
マンションの定義について 北区では、マンションとはどのようなものであるか、その定義を伺う。
マンション管理組合への補助金について マンション管理組合の理事長等を束ねる組織として、町会連合会のようなものを作ることを支援すべきである。
また、区民住民の自治組織として、消防訓練への補助や共有部分の電気代の補助など、町会と同じくマンションに対しても、予算手当を実施していくべきと考えるが、実現に向けての区の考えを問う。
(区答弁)
今後、北区においても、新築マンションが増加し、老朽化したマンションも、増えていくことが見込まれており、マンションをめぐる諸問題も伝えられているところでございます。
はじめに、マンションの定義についてのお尋ねです。 国土交通省では、これまで、三階以上の分譲共同住宅で、非木造建物をマンションとして、捉えてきました。
平成十二年に制定された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」によりますと、二以上の区分所有者がいる建物で、階数や構造に関係なく、住戸数が、二戸以上を対象としているところです。
なお、北区が行った分譲マンション実態調査では、階数にかかわらず非木造建物を対象として調査を行ってきたところです。
次に、マンション管理組合等への補助金についてのご質問でございます。 マンション管理組合は、財産管理的な性格を持つ団体であり、町会は、地域のコミュニティを形成する地縁団体です。
このような性格の違いから、管理組合のままで町会と同様に補助金、委託金を交付できる団体となることは難しいものと考えております。 管理組合の中には、町会として登録を行っているところもあり、その場合、町会と同様の補助を行いますが、町会としての運営が難しいといった問題も抱えております。
区としましては、マンション管理組合と町会との関わり、実態などを踏まえ、今後の課題とさせていただきます。
●マンション課設立について
マンション人口が増える中、建て替えや修繕の問題、マンション住民間や周辺住民間とのトラブルなど、多くの問題を一元的に取り扱うための部署として、マンション課といった窓口を設置するべきと考えるが、区の考えを問う。
(区答弁)
分譲マンションは、都市における居住スタイルとして定着し、まちづくりの面からも、都市を形成する大きな要素となっています。
区では、これまでハード面を中心とした分譲マンションの実態調査やソフト面である管理を対象としたアンケート調査により、分譲マンションの現状を把握してまいりました。
また、これらを踏まえ、分譲マンション管理セミナーを定期的に開催し、管理組合の運営方法や建物の適切な維持管理、居住者のコミュニティの形成などについて、マンション管理士による相談会と組み合わせながら居住者の抱える諸問題に、対応してきたところでございます。
今後とも、セミナー等を通じて、広く分譲マンション管理組合や区分所有者等に呼びかけ、マンションをめぐる情報交換や相互交流のもと、住宅課が総合的な窓口として支援し、努力してまいります。
●マンション建替への対応策について
ペイオフ解禁等により、マンション住民は既存の金融機関への不信と不安を抱えている。既存の金融機関を補完する形で、行政がマンション修繕積立金を預かることはできないか。
また、この資金を運用して行う施策の一環として、マンション建て替え費用の支援制度の設立や利子補給を行うなど、建て替え支援に向けた区の考えを問う。
(区答弁)
区が、マンションの修繕積立金を預かるということでございますが、ペイオフ解禁後は、預金者や資金管理者に、自己判断、自己選択、自己責任が求められております。
修繕積立金の運用に関しましては、平成十五年六月の住宅金融公庫法の改正により、マンション管理組合の修繕積立金を、公庫が預かることが可能になりました。
こうした制度についても、区の相談窓口や分譲マンション管理セミナーを通じて、積極的な情報提供に努めてまいります。
●マンション住民への生活支援資金貸付制度適用について
土地、建物を所有している高齢者に、土地、建物を担保として生活資金を貸与する長期生活支援資金貸付制度がスタートした。
担保の対象に、マンション区分所有権は含まれていないが、区の独自制度として実現できないか、区の考えを問う。
(区答弁)
議員ご指摘のように、現状の制度では、担保の対象にマンションの区分所有権は含まれておりません。 マンションの区分所有権は、担保の対象になじまないと、一般的に取り扱われていることによります。
このようなことから、マンションの区分所有権について、区が、担保の対象としていくには難しい事態も予想されるところであり、今後の研究課題として受け止めさせていただきたいと思います。
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